「塗装屋を始めたばかりで道具が分からない」「どんな道具が使いやすいのか知りたい」「使い方が合っているのか心配」という人はいませんか?この記事では塗装屋に必要な道具を種類別に細かく解説しています!作業ごとに必要な道具が分かるので、どの道具をいつ使うのかが分かりやすいです。ぜひ最後までお読みいただき、塗装道具の参考にしてみてください。
①養生作業
まずは養生作業に必要な道具から見ていきましょう。「養生作業とは何か」を解説したあとに「必要な道具」を一つずつ紹介します。それぞれの作業手順とどういった目的があるかも含めて参考にしてみてください。
養生作業とは
そもそも養生作業とはなんでしょうか。養生作業は塗装しない箇所に誤って塗料が付着しないようビニールなどで保護することです。いきなり塗装作業に入る前に養生作業を済ませる必要があります。たとえば雨どいやシャッターボックスなど塗装しない箇所は全てビニールで覆い養生しなければなりません。もしこの作業を怠れば、塗料で汚れてしまいお客様に迷惑をかけてしまいます。綺麗に仕上げるためには丁寧に養生を行うことが大切です。
養生で使う道具
実際に養生作業で使う道具にはどんなものがあるでしょうか。ここでは養生に使う際に必要な道具を四つ紹介します。
養生シート
一つ目は「養生シート」です。養生シートとは透明なビニールシートのことで、外壁塗装の際に窓枠を覆って塗料から保護します。養生シートにも色んな種類があり、ハサミを使わずに手で千切って使えるものもあります。また塗料が飛び散らないよう家の周りを囲うのは飛散防止シートですが、どちらも養生シートと呼ぶ人もいます。基本的に養生シートはビニールシートの方を指していると覚えておいてください。
マスキングテープ
二つ目は「マスキングテープ」です。これは文房具用の可愛いテープではなく、塗装工が使用する外壁塗装用のテープを指します。塗装用のマスキングテープは塗料から一時的に保護する目的があり、適度な粘着力と剥がしやすさが特徴です。もし粘着力が強すぎると剥がしにくく、接着剤が残ってベトベトになってしまいます。マスキングテープを選ぶ際はあまり安い物ではなく、塗装用に適したテープを選ぶと良いでしょう。
マスカー
三つ目は「マスカー」です。塗装業に馴染みがない人はあまり聞いたことがないかもしれません。マスカーはちょっとした便利グッズのようなもので、マスキングテープと養生シートが一体になっています。マスカーを使えばシートを抑えつつテープを貼るといった工程を一度にこなせます。ガムテープとほぼ同じ幅ですが、貼ったあとにビニール部分だけ広げることができる優れものです。
車やバイクの養生カバー
四つ目は「車やバイクの養生カバー」です。塗料が飛び散らないように車やバイクも養生カバーで覆います。一台そのまま覆うことができる大きなビニールのカバーです。これは塗装する家だけでなく、近所の方の車やバイクにも使用することがあります。カバーをつける際に傷がつくといけないので、使用の際は必ず持ち主の許可を取るようにしてください。
②塗装作業
養生作業を終えたら塗装作業に入ります。ここでは「塗装作業とは」何か、また「塗装工法の違い」について説明します。養生と比べて塗装作業で使用する道具は多いですが、一つずつ見ていきましょう。
塗装作業とは
まず塗装作業は下塗り・中塗り・上塗りの順に行います。下塗りの目的は「塗料と外壁面を密着させる」「塗料で外壁面を均一にする」の二つです。綺麗に中塗り・上塗りを接着させるのに下塗りは欠かせません。外壁や屋根が傷んでいると下塗り材が吸収されるため、しっかり乾かすことが大切です。下塗りが施工されているのを確認したら次は中塗り作業に移ります。実は中塗りと上塗りは同じ塗料を使っていて、わざわざ二回に分けて行うのは一度乾燥を挟むためです。一度に大量の塗料を塗ってしまうと表面だけ固まってしまい、中は固まらなくなります。この状態では塗料本来の効果を発揮できなくなるため、一度きちんと塗った後に乾かしてから二度目の塗料を塗って適切な厚さを出します。この中塗りが乾いたらようやく本塗りです。中塗りと同じ塗料を使い、再度乾かしましょう。乾燥を挟むことで時間はかかりますが、適度な膜厚は耐久性を高める効果があります。
塗装工法の違い
外壁塗装には様々な方法があります。具体的にどんな塗り方があるのでしょうか。ここでは「塗装工法の違い」をメリット・デメリット併せて紹介するので、塗装の参考にしてみてください。塗装に適した塗り方や道具が分かれば、上手く道具を使い分けられるようになります。
ローラーで塗る
まず「ローラーで塗る」方法です。ローラーといっても様々な種類があり、外壁の素材によって使い分けています。平面の外壁には短毛タイプ、凹凸があるものには毛足が長いタイプ、と用途によって適したローラーが変わるからです。ローラーは比較的短時間に広い範囲を塗装できます。さらに塗料が飛び散りにくく、狭い場所を塗るときには最適です。しかし一方で、ローラーの状態が仕上がりに影響しやすいデメリットもあります。もしローラーが劣化していたら表面の毛が抜けたり、気泡が発生したりするからです。また塗料が飛び散りにくいと言いましたが、ローラーに塗料がしっかり含まれていないと逆に飛び散ることもあります。塗装を綺麗に仕上げるには日頃から道具を手入れし、正しい塗り方を心がけることが大切です。
スプレーガンで塗る
次に「スプレーガンで塗る」方法です。スプレーで塗料を吹き付けて塗ります。スプレーガンのメリットはなんといっても広範囲を短い時間で塗装できる点です。作業時間はローラーや刷毛と比べても早く、工期が短くなることから費用も抑えられます。またスプレーは作業跡が分かりづらく、補修作業も綺麗に仕上げやすいです。逆にデメリットは塗料が飛び散りやすい点です。作業前に広範囲を養生しなければならず、手間も時間もかかります。かといって養生シートを減らしてしまうと綺麗に仕上げるのは難しく、何かとロスが多くなりがちです。また広範囲に塗装しやすい一方、仕上がりにムラが出やすいデメリットもあります。塗料の飛び散りや塗装の仕上がりをチェックするなど作業前後の注意が必要です。
刷毛で塗る
次に「刷毛で塗る」方法です。刷毛は基本的な塗装方法ですが、塗料が飛び散りにくいです。また細かい箇所や塗りにくい場所にも刷毛は適しています。デメリットはローラーやスプレーと比べて、かなり時間がかかることです。平らで広範囲な外壁を刷毛だけで塗装するのは、あまりおすすめできません。時間がかかれば工期も延び、費用が高くなります。道具のメリット・デメリットを知り、ローラー、スプレー、刷毛を上手く使い分けると効率良く綺麗に仕上げられるでしょう。
ローラーの種類
先ほど紹介したローラーは様々な種類があります。というのも塗装作業の80%はローラーを使用しているからです。まず外壁は平らなものが多いですよね。なので基本はローラーで塗り、複雑な箇所や細かいところを刷毛で塗る方法が主流です。ではローラーにはどんな種類があるでしょうか。
羊毛ローラー
ローラーで最も使われる頻度が高いのは「羊毛ローラー」です。ウールローラーとも言います。羊毛のような柔らかい繊維が特徴で、均一に塗りやすいです。羊毛ローラーは毛足の長さによって三種類に分けられます。
短毛ローラーは毛足が 5mm前後の短いローラーです。平面を塗りやすく綺麗に仕上げられます。中毛ローラーは毛足が13mm前後のローラーです。中間の長さのため様々な場所に適していて、三種類のなかでもよく使われます。長毛ローラーは20mm以上の長いローラーです。凸凹している箇所にも毛足が入りやすく、広範囲に塗りやすくなっています。
砂骨ローラー
次に「砂骨ローラー」もよく使われます。ローラーの中にたくさん空洞があるのが特徴です。空洞のおかげで塗料を多く含み、分厚く塗ることができます。また粘度が高い塗料を塗るのにも適しています。砂骨ローラーは様々な呼び方があり、マスチックローラー、パターンローラー、多孔質ローラー、スポンジローラーとも呼ばれます。名前で混乱しないように注意しましょう。
加工用ローラー
上記に挙げたローラー以外にも様々なローラーがあります。たとえば吹き付けで塗装した後、ヘッドカットローラーは表面の凸凹を滑らかにすることができます。またシートを貼り付ける際に活躍するのが脱泡ローラーです。脱泡ローラーを使って空気を抜くとシートがしっかり密着するようになります。このようにローラーには様々な種類があり、幅広い用途があると分かりますよね。
③下地処理
外壁塗装で意外と重要なのが下地処理です。下地処理は塗装の仕上がりに大きく影響すると言われています。なぜ下地処理はそこまで重要なのでしょうか。また下地処理に使う道具にはどんな役割があるのか解説しました。
下地処理とは
下地処理とは塗料が付着しやすいよう平滑に整えることです。具体的には塗装する下地面の汚れを落とし、ヒビなどで劣化している箇所を処理します。この下地処理が適切にできていないと、塗料の質に関わらず剥がれやすくなってしまいます。つまり下地処理を怠ると塗料の効果が発揮できないどころか、劣化にも繋がりやすいということです。下地処理が塗装の仕上がりを左右するといっても過言ではありません。
下地処理に使う道具の種類
では下地処理にどんな道具を使うのでしょうか。下地処理でまず重要になってくるのは古い塗装をしっかり落とすことです。高圧洗浄機だけでなく、様々な道具を使って下地処理を行います。
皮スキ
「皮スキ」は金属製のヘラで様々な使い方ができます。たとえば皮スキはケレン作業の時に使い、高圧洗浄で落としきれなかった外壁の剥がれや、剥離剤で浮かせた古い塗膜を皮スキで削ぎ落とします。また皮スキは縁切り作業でも使われ、スレート瓦の屋根の重ね目に入り込んだ塗料を皮スキを使って剥がします。この他にも幅広い用途がありました。皮スキは職人にとって欠かせない道具ですよね。
サンドペーパー
塗装業界の「サンドペーパー」は紙やすりのことです。ケレン作業で塗料を落としたり、ドアなどの仕上げをする際に使います。また塗料が付着しやすいよう表面に傷をつける目荒らしという作業でも使われます。サンドペーパーは目の粗さによって番号が決められており、数字が小さいほど粗く、大きいほど目が細かくなります。たとえば古い塗装を剥がす際には40番のような粗いサンドペーパーを使います。外壁塗装において200番は普通の粗さ、400番にもなるとかなり目が細かいです。塗装にはこのあたりを用意しておくとよいでしょう。
塗装屋にとって道具は何よりも大切!
いかがだったでしょうか。塗装屋が使う道具を作業ごとに詳しく解説しました。養生作業、塗装作業、下地処理では様々な道具を適切に使い分けていましたね。そのためにはまず道具の特徴を知ることが必要です。道具の特性からメリット・デメリットの両方を知り、作業に適した道具を選ぶことができます。正しく道具を扱えれば、塗装の仕上がりもより美しくなるでしょう。