塗装業を営んでいる方の中には、
「毎月赤字が出ていて何とかしたい」
「売り上げを上げてもなかなか利益が残らない」
「赤字続きで資金繰りが苦しい」
といった悩みをお持ちの方もいるかもしれません。今回は塗装業において赤字の時にどうすべきか、黒字するにはどうすればいいのかについて徹底的に解説していきます。塗装業を経営していて、赤字で悩んでいる方や、経営に不安がある方はぜひ読んでみてください。
塗装業で赤字になる要因
塗装業界では赤字の悩みを抱えている経営者の方が意外と多くいます。塗装業が赤字になるのには、その業界特有の原因や会社内部の内的要因など様々なものが挙げられます。ここでは外的要因と、内的要因の大きく二つに分けて詳しく解説していきます。
外的要因
塗装業で赤字になる外的要因として、
・ウッドショック
・原油価格の高騰
この2つがあげられます。それぞれについて説明していきます。
ウッドショック
新型コロナウイルスによって製材会社の従業員が減り、木材の生産が追いつかなくなったことや、製材会社の倒産など様々な要因によって、木材不足や価格高騰が起こっています。木材の価格は2021年を境に1.5倍になったという試算もあります。これは建築業界において大きな悪影響を及ぼしています。
塗装工事を請け負う業者の中には、塗装専門業者だけでなく、他のリフォームや建築を行いながら、塗装のリフォームも請け負っている工務店やリフォーム会社もあるでしょう。そのような業者にとって、ウッドショックによる木材不足、木材の価格高騰は大きな痛手です。
原油価格の高騰
2つ目の外的要因として、原油価格の高騰があげられます。原油は2022年のロシアによるウクライナ侵攻が原因で価格が高騰し続けています。またロシア産の原油の輸入が停止となったことも原油価格高騰の要因となっています。原油はさまざまな物資の輸送において必要な原料です。原油価格が高騰すると輸送費も高くなるため、その分の費用が資材や設備などの価格に上乗せされるようになります。施工に必要な材料費の高騰が高騰し、安く仕入れるのが難しくなったことは建設業界の多くの経営者を苦しめています。
内的要因
上記で挙げた、自分の力だけではどうしようもない外的要因のほか、社内体制などの内的要因も赤字になる原因として挙げられます。ここでは、
・営業や職人の雇いすぎ
・資金管理ができていない
・目先の売上だけにとらわれている
この3つの内的要因について分かりやすく説明していきます。
営業や職人の雇いすぎ
営業や施工のためと言って営業マンや職人をむやみやたらに増やすと、人件費が増え会社の負担となります。雇う人が増えれば増えるほど、給与払いや採用、研修にかける時間や費用も大きくなります。雇う人が増えると、例え利益が上がらなかったとしても給与払いだけはしなくてはいけません。少ない人数でも効率よく成果を出せるような体制が必要となります。
資金管理ができていない
資金管理がずさんな会社は赤字になる傾向があります。なぜなら収支がしっかりと把握できず、いつの間にか赤字になっていることもあるからです。とくに売上があると「儲かっている」と認識しがちです。しかし、原価率や経費が大きければ、売り上げても赤字になっていることもありえます。原価率の計算などもしっかりと行い、支出がどのくらいあるのかまで把握するようにしましょう 。
目先の売上だけにとらわれている
「とにかく売上を上げればいい」という考えで目の前の売上だけにとらわれている場合も要注意です。売上が大きくなるとその分、原価や経費も大きくなります。そして後からよくよく計算してみるとあまり利益がでていなかったということもあります。さらに売上のためと、低価格で案件ばかり獲得してしまうと、その予算内で工事を完了させるために施工不良をまねくこともあります。その結果会社の信用を失うこともあるので注意しましょう。
塗装業で赤字から黒字へ転換するための具体的な施策
では赤字を出している塗装業が黒字転換するにはどうすればいいのでしょうか。
赤字から黒字にするためには具体的に
・工程管理を行い余分な人件費を削減する
・仕入れ費(材料費)の価格交渉をする
・広告費を見直し、無駄であれば削減する
・在庫管理を見直す
・年間の予算をきちんと組む
・社内で意識を統一する
ということがあげられます。以下それぞれについて詳しく説明していきます。
工程管理を行い余分な人件費を削減する
人件費は原価の中でも大きな割合を占めるので、まずは工程管理をおこなって無駄な人件費を発生させないようにしましょう。安易に職人の日当を減らしてしまうとモチベーションの低下や最悪の場合転職してしまうといったことも考えられます。それよりも、まずは一日の段取りを見直し、休憩時間は多くとりすぎていないか、効率よく作業が進められるようになっているのかなどを確認しましょう。また準備をしっかりと行うことで、資材や道具を忘れたことが原因による移動時間・無駄な時間の発生を防げるようにもなります。
仕入れ費(材料費)の価格交渉をする
塗装業における材料費のほとんどが塗料代にあたります。その塗料仕入れ費の価格交渉を行うことで原価率を下げ、利益を少しでも多く残せるようになります。
価格交渉を行う際は一般塗料で行うのでなく、各メーカーの差別化塗料で行うとよいでしょう。
なぜなら一般塗料では、すでに他の業者も価格交渉を行っていることが多く、購入実績に応じた価格調整を行っているので、価格交渉を行ってもあまり意味がないからです。差別化塗料とは、他社の塗料と差別化することを目的に性能などをあげた塗料です。この差別化塗料の販売代理店になることを提案し、価格交渉をすすめるのがおすすめです。
広告費を見直し無駄であれば削減する
営業や集客の施策を定期的に見直し、効果の出ていないものがあればやり方を変える、予算のかけ方を変えると言った方法も試してみましょう。例えばよくあるのが、
・高額な費用をかけてSNS運用を代行業者に依頼しているが効果がでない
・促販ツールを購入しているが、実際は全然使っていない
・反響がこないのにチラシを配布している
といったことがあげられます。
一つ一つの施策の効果を確認し、無駄なものがあれば、やり方を変えてみるのも一つの手です。なるべく費用対効果の高い方法で案件を獲得できるようにしましょう。
在庫管理を見直す
使いかけの塗料や、使わないローラーなど在庫があればあるほど、その管理や処理に時間と労力が必要になります。また在庫が多い会社ほど、原価も高くなるという傾向もあります。できるだけ在庫が無い状態を目指して、在庫管理を見直すようにしましょう。在庫を管理するポイントは、塗料を余らせないように使いきることや、塗装デザインをなるべく絞るといった方法があげられます。すぐに実践できることでもあるので、ぜひ取り組んでみてください。
年間の予算をきちんと組む
1年ごと、1か月ごとの予算計画をしっかりと立て、予算内でやりくりできるようにしましょう。特に接待交際費は、経費にできるからと無駄に使ってしまう企業も多くあります。「飲みニケーションが大切」という考えもありますが、今はインターネットを使って人脈作りや情報収集ができる時代になっています。無駄な経費は削減し、社員の育成にお金をかけるようにしましょう。具体的には会議費・接待交際費・福利厚生費は年商の1%以下の予算で考えるといいでしょう。
社内で意識を統一する
赤字から黒字にする為には、経営陣だけでなく社員も含めた社内全体での意識の統一が大切です。
社員にも現在の経営状態を知ってもらい、経営陣と同じように危機感を持ってもらうようにしましょう。社内全体で問題意識を持つことで、一人一人が課題を見つけ改善できるようにもなります。社内全体で同じ方向を向けるような経営の仕方を心がけましょう。
赤字の要因を解消して黒字経営を目指そう
いかがだったでしょうか。今回は塗装業において赤字になる原因と黒字にするためのポイントについて開設しました。現在はウッドショックや原油価格の高騰など、建設業界にとっては厳しい状況が続いています。しかし、そんななかでも社内でできることに目を向ければ、赤字改善し黒字経営できるようになるチャンスも大いにあります。是非今回の記事を参考に、黒字経営を目指していきましょう!